討論・2016年12月

平成28年第4回定例会 野村羊子討論

議案第68号 三鷹市高山小学童保育所C等の指定管理者の指定について

〔反対討論〕
(1) 野村羊子委員(いのちが大事)

この議案は、学童保育所を社会福祉法人三鷹市社会福祉協議会と株式会社日本保育サービスという、法人格が違い、しかも指定期間も違う案件を一括の議案としている。

指定管理というのは、事業者の創意工夫により民間の活力を生かすものとしてあるのであれば、その専門性、事業者の力量、実績など、個別の検討が必要となる。住民協議会といった三鷹市が関与して設立し、目的も同じで公的な団体で、期間も同じものを一括するのとは質が違う問題である。まとめて1つの議案にすることが非常に問題であることをまずは指摘する。

社会福祉協議会においては、前回プロポーザルで選定し、その後の運営を評価するとの理由であるが、この間、職員の処遇をマイナス変更している状況がある。市の職員と同等という今までの条件から、8号下位に引き下げた。かわりに35時間労働とするという労使合意があったはずだが、それが守られていない実態がある。社会福祉協議会は不用額を返還しているのであるから、事業費の中で35時間対応すべく市の指導が必要である。市の指定管理料の中で職員の処遇改善がなされるよう対応すべきである。連携を密にして対応するとの答弁があったが、処遇改善が確約されていない。

日本保育サービスについては、他自治体において労働基準監督署から残業代未払いに対する是正勧告が出され、市でも口頭での報告を受けたとの答弁があったが、実績報告書等には一切出てこない。また、職員の異動が頻繁なことは、子どもたちの安定の上では大きな課題がある。職員の定着率を評価項目に加えるべきである。

子どもたちの放課後の日々の暮らしを支え、健全な発達を支える学童保育所の役割は大きい。市内全域で、同じ労働条件による同じ処遇の上で、同じサービス提供を確保すべきである。効率を求めるのではない、指定管理のあり方を追求し、子どもたちの幸せを確保すべきであるが、同じサービスが全市的に提供されるとは言いがたい本議案に反対をする。


議案第69号 三鷹市市民協働センターの指定管理者の指定について

〔反対討論〕
(1) 野村羊子委員(いのちが大事)

指定管理者制度は、そもそも事業者の創意工夫や自主的経営を生かすことを趣旨とし、自治体すなわち行政は運営方針を提示して、評価・監督などガバナンスに徹し、事業者に大幅な経営権限を与えることでメリットを引き出すものであった。収益の上げようのない施設を指定管理者として管理させるのは、本来のあり方ではないのではないか。

結果的に、NPOとの協働運営と言っても、指定管理者の理事に市の担当部長が入り、事務局長初め正規職員は市からの派遣である。ほとんど直営と言える状態であるにもかかわらず、事業者NPOとの「協働」との看板を掲げるのはいかがなものか。

利用者懇談会は年に一度であり、市民との協働も十分とは言えない。現在行われている事業等はそれなりに評価できるが、直営でも同様な運営ができると判断し、NPOに管理運営を任せる本議案に反対とする。


意見書(案)第30号 ヒートポンプ給湯機の低周波音による健康被害の対策向上に係る意見書

◯16番(野村羊子さん)  ヒートポンプ給湯機の低周波音による健康被害の対策向上に係る意見書について、討論をいたします。
低周波音は、人の耳では聞き取りにくい100ヘルツ以下の周波数の音で、工場の送風機、ビルのボイラーや空調機の室外機、車の走行、ヘリコプター、風車などさまざまな発生源があります。近年さまざまな苦情が相次ぎ、個人差があるものの、頭痛や耳鳴り、不眠などの健康被害を感じる人がいることがわかっています。低周波音による健康被害は、不定愁訴が多い、個人差が大きいという特徴があり、気のせい、考え過ぎとして、重大な被害として捉えられないことが間々あります。また、原因が低周波音、低周波騒音であると確信を持てずに、長い間被害に遭われている方が少なくありません。アレルギー、化学物質過敏症などのように、一度被害を発症すると感受性が高まり、症状が重度化する可能性が高まります。
ヒートポンプ給湯機の低周波音被害は、機器の普及とともに問題となってきています。消費者庁によれば、エコキュートについての相談は、2013年約40件、14年60件、15年約90件とふえ、またエネファームやエコウィルといったガス発電・給湯機器でも被害相談がふえています。実際にその機器が向いているお隣の家にだけ被害が出る、そのお宅の中の1人だけが症状を感じるということも多く、被害が顕在化しないまま、多くの方が健康被害を発症させている可能性があります。
このような状況を受けて消費者庁は、昨年11月に消費者安全調査委員会で関連調査を始め、リスク低減対策を各省庁に求めるというような事態になったのは、本意見書でも述べているとおりです。残念ながら低周波音に対する環境基準や規制基準がありません。環境省が示した目安、参照値があるだけですが、日本弁護士会は、この参照値では被害を把握し切れないと指摘しています。
山手通りの地下につくられた首都高速中央環状線の換気所から発する低周波音により、健康被害を受けた方がいます。調査によって、マンションの居室内で低周波音が測定されているにもかかわらず、裁判で被害補償が認められなかった。この方は、症状の悪化を避けるために、都外へ転居されました。また、長時間停車中の電車から発する低周波音による健康被害を受けた方は、パンタグラフをおろし電車のモーターをとめることで被害が低減されました。この意見書では、今問題となっているヒートポンプ給湯機を表題に挙げていますが、現実にはあらゆる低周波音被害への対策が必要です。環境基準ないしは規制基準をつくり、規制していくことが必要と考えます。
記2の被害者を孤立させない相談窓口と支援体制、3の低周波音による健康被害の実態解明に加え、医療機関を初め広く一般に知識の普及を図り、対策を促進していくことが重要です。
以上の意見を添え、低周波音による健康被害の対策向上を求める本意見書には賛成とします。