野村提案 意見書(案)第10号「野田市DV・虐待事件の再発防止を求める意見書」は、25人全員の賛成で可決されました。
「野田市DV・虐待事件の再発防止を求める意見書(案)」
2019年1月、千葉県野田市で10歳の小学生を虐待死させた父親が逮捕された。この事件では、教育委員会や児童相談所の対応などと同時に、DV被害者と考えられる母親を、保護するのでなく容疑者として逮捕するといった手法に、疑問や批判が相次いでいる。
2月14日に国会内で開かれた「千葉県野田市DV・虐待事件緊急院内集会」(「女性や子どもへの暴力を許さない法律を作る」院内集会連続開催実行委員会主催)では、有識者らから、専門的知見のある支援者や当事者の意見を政策決定に取り入れるべきこと、行政より身近な存在である学校をDVの発見の場として生かすべきこと、スクールカウンセラーなどを生かし、母へのDVと子どもへの虐待を一体のものとしてサポートを行うべきこと、こうした知見を共有するため教員・行政の管理職・教育委員会に対する研修を行うべきことなどが提案された。
しかし、これらを担うべき公務の現場を振り返ると、児童相談所の児童福祉司は「任用資格」で、多くは数年程度で異動する。一方で、長期的な観点に立って寄り添うことを要する専門業務の多くは、不安定雇用の非正規公務員によって担われている。
したがって、児童虐待防止法が改正され、DV防止関係機関との連携が強化されたとしても、公務サービスを担う一線の公務従事者の労働条件の改善なしにはその真の実現はあり得ない。
よって、本市議会は、国会及び政府に対し、野田市DV・虐待事件のような痛ましい事件が二度と起きないよう、下記の事項の実現を強く求める。
記
1 スクールカウンセラーやDV相談員、家庭児童相談員など専門性の必要な業務の多くは、非正規公務員によって担われている。1年有期という不安定な「会計年度任用職員」制度によるのではなく、一線で児童虐待やDV被害者の支援に当たる非正規公務員が支援に集中できる安定雇用と待遇改善を図ること。
2 学校が、DV発見の場としての役割を果たし、教職員がDV研修などを余裕を持って受けるためには、教員の多忙化を是正する必要がある。教員の仕事量に見合った人員の充実と、そのための予算措置をすること。あわせて、非正規教員の正職員化も含め、教員の働き方と待遇の改善をすること。
3 少子高齢化や貧困化の中で公務サービスの需要は増大しているが、福祉や教育、男女平等を初めとする生活関連の公務サービス予算は縮小傾向をたどってきている。さまざまな現場での職員の疲弊は著しい。生命を守る住居や雇用、被害者支援など、最も重要かつ必須の住民サービスの第一線に立つ各種相談員の拡充、及び育成、強化を図ること。
上記、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
平成31年3月26日
三鷹市議会議長 宍 戸 治 重