2019.3.26 野村提案 意見書案(第12号)奥山等のスギ・ヒノキ放置人工林を、天然林に再生することを求める意見書

日本熊森協会より郵送による陳情があった。熊森協会の事業全般を是認するものではないが、今回新たにできた森林環境税および森林環境譲与税について意見を言いたく、陳情を活用して意見書案を作成した。賛成少数で否決となった。

「奥山等のスギ・ヒノキ放置人工林を、天然林に再生することを求める意見書」
戦後の拡大造林政策により、切り出すこともできない奥山にまで植えられた杉やヒノキなど針葉樹の人工林1,030万ヘクタールのうち、3分の2が放置されている。伐採が困難、伐採しても赤字などの理由で、間伐もされず放置され、青々とした外観とは裏腹に、内部は下草も生えず、大荒廃している。広大な放置人工林は、山の保水力を著しく低下させ、豪雨のたびに崩れ、人命や財産が失われている。
また、食べ物が何もないため野生動物たちが餌を求めて里に出てくる原因となったり、大量の花粉を発生させて花粉症の原因となるなど、弊害が深刻化している。水源林の涵養は飲料水の60%を地下水に頼る本市においても人ごとではなく、また里に出没する動物たちによる農産物被害は年々顕著になってきている。
新たに創設される森林環境税(仮称)及び森林環境譲与税(仮称)については、法令上使途を定め、市町村が行う間伐や人材育成・担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発等の森林整備及びその促進に関する費用並びに都道府県が行う市町村による森林整備に対する支援等に関する費用に充てなければならないものとされている。
この2024年度より国民1人につき毎年1,000円が徴収される予定の森林環境税(仮称)及び森林環境譲与税(仮称)の使途については、単に人工林の林業用整備だけではなく、水源確保、生物多様性保全、災害に強い森を取り戻すため、天然林再生に活用することが求められる。昔から天然林で残すべきとされていた奥山全域、尾根筋、沢沿い、急斜面、山の上3分の1は、人工林を皆伐し、天然林化することを目標に、そのための事業及び人材育成に充てることが必要である。
よって、本市議会は、国会及び政府に対し、下記の事項を強く求める。


1 森林環境譲与税(仮称)を、自治体が放置人工林を天然林に戻すために活用できるような事業化を図ること。
2 天然林の再生が中山間地域の新しい林業となるように事業化すること。
3 天然林(山)所有者に対する税制優遇制度など天然林維持保全が長期的に可能となる制度設計を検討すること。
4 放置人工林のない都市部においては、森林環境譲与税(仮称)を、水源林等を抱える自治体による奥山保全を支援することなどに活用できるようにすること。

上記、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
平成31年3月26日
三鷹市議会議長 宍 戸 治 重