31請願第1号「石炭火力発電の段階的廃止を求める意見書の国への提出について」の紹介議員となった。三鷹市議会では、請願が採択されたときに備え、請願に合わせた意見書を紹介議員が提案することが習いとなっている。請願者と相談し文案を作成し提案した。また請願が否決された後にも文言調整を各会派と行ったが、結果的には意見書案も賛成少数で否決された。
「石炭火力発電の段階的廃止を求める意見書(案)」
昨年は、今まで経験したことがない豪雨や「非常に強い」台風など、温暖化が影響していると考えられる異常気象、自然災害が、ふえたことは誰の目にも明らかである。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の研究報告によると、今のペースで温室効果ガスの排出量がふえ続けると、2100年には気温がさらに4度前後上昇するとされている。ことし生まれた赤ちゃんは、2100年にまだ81歳である。20世紀後半に便利で豊かな暮らしを享受してきた私たちには、「子どもたちの未来」に大きな負の遺産を残さないための最大限の努力を尽くす倫理的責任がある。
2016年に発効した、2020年以降の気候変動問題に関する国際的な枠組み「パリ協定」では、長期目標として気温の上昇を「産業革命後2度未満」とする目標が設定され(既に1度上昇)、今世紀後半にはCO₂の排出量と吸収量をバランスさせることが定められた。そこで、世界では、「低炭素化」をさらに推し進めた「脱炭素化」の動きが広がりつつある。
これを受け、CO₂排出量の多い石炭火力発電について、ヨーロッパ系の民間金融機関の中には、投融資を控える動きがあり、公的金融機関においても、一定の条件のもとで融資を制限する動きがある。
現在、日本には約100基の石炭火力発電所が稼働しており、発電事業者はさらに約40基の新規建設計画を掲げていたが、採算性がとれないなどの理由で幾つかの計画が中止となっている。
石炭火力発電は日本の全発電量の29%を占めているが、CO₂排出量は51%にもなる。地球温暖化対策推進法では、国と地方公共団体がそれぞれの役割を果たしつつ連携して、温暖化対策に取り組むことが義務づけられている。地方が啓発活動等により消費電力量の削減を進めたとしても、電力由来のCO₂排出係数が大きければ、排出量削減目標を達成できないという事態になりかねない。
次世代や途上国の「受動温暖化」の被害を抑制するためにも、温暖化対策強化は必要である。そして、市の地球温暖化対策実行計画、CO₂削減効果に大きな影響を与える電力由来のCO₂排出係数を抑える必要がある。
よって、本市議会は、国会及び政府に対し、深刻化する気候変動に対する次世代への責任ある行動として、下記の事項の対策をとることを強く求める。
記
1 温暖化対策に意欲的に取り組む国に倣い、CO₂排出係数が最も大きい石炭火力発電所をなるべく早い時期に段階的に廃止すること。
2 石炭火力のフェーズアウトを進める国際組織「脱石炭連盟(PPCA)」に加盟するなど連携し情報収集に努めること。
3 石炭火力発電事業者が地方再生にも寄与するバイオマス火力発電事業ほか再生可能エネルギー事業に転換する場合は設備廃棄損失の一部を補償するなど、円滑な事業転換や雇用維持、国民負担に配慮した「公正な移行」措置を検討すること。
上記、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
平成31年3月26日
三鷹市議会議長 宍 戸 治 重