暴力を許さず、暴力にはしる人をつくらない社会にむかって
～安倍元首相銃撃事件と改憲勢力が2/3を越えた選挙結果から～
野村羊子
2022年７月８日､安倍晋三元首相は､選挙応援演説中に背後から銃撃され死亡しました。あってはならない暴力が起こされたことへのショックに、ことばもありませんでした。とっさに思ったのは、「これで自民党が圧勝する。改憲、緊急事態宣言、市民への監視･規制が強まる」ということでした。
ところが、私がフォローするSNSの発信者は、「暴力は許せない。しかし、安部元首相がやった様々な欺瞞･虚偽･ごまかし等を無かったことにしてはいけない」「冷静に考え、投票を」と発信していました。さらに、「こういう社会がほしいと思い描こう。そのための1票を」と。そうです。首相の立場でやった事は、きちんと検証し、真実を明らかにすべきです。不問に伏してはならないことがたくさんあります。それ以上に、これからを生きる私たちにとってほしい社会は何か。暴力に走る人、追い込まれてしまう人々が大勢いる今を変えるために、何ができるかが重要なのです。
その場で取り押さえられた犯人は、カルト宗教団体(統一教会）に家族を壊されたと恨んでいた。宗教団体のトップは狙えないので、つながりのある安倍元首相を狙ったと供述していると報道されています。つまり怨恨による殺人です。政治テロではないということです。同時に、秋葉原無差別殺傷事件のように､無口でおとなしい青年がいきなり暴力にはしる。こういう事件が実は相次いでいる、そこにある社会の病理をしっかりと見つめる必要もあります。人と共感し、信頼感を育くむ環境が失われていること。安心できる場、自分をそのまま受け止めてくれる人がどこかにいれば､人は自分を保たせていけるのです。今回の犯人のように、なんとか保っていた日常が何かをきっかけに崩れ出す､その時に引き留めてくれる存在がいない事が、今､事件を受けて取り組むべき社会の問題なのだと思います。
マスメディアの報道は大いに疑問です。8日の午後は、どこのTV局も特番で同じような報道をしていたのに、翌日はニュースの1枠のみ。上から指示が降ってきたのか。多様な事実を報道してほしいです。
私たちは、臆することなく､屈することなく、戦争も暴力も許さない、緊急事態条項も武力もいらない社会。平和を守り、人権が守られる社会をつくりたい。疑心暗鬼な競争ではなく、信頼し支え合える社会にしたい。そのために､手を取り合ってともにあるいていきたい。今だからこそ、声を上げていきたい。
２０２２参議院選挙結果
当初の予想通り、自民の圧勝でした。単独過半数(125議席）には6議席不足ですが、公明と合わせた与党合計は146議席です。更に維新と国民民主、無所属の2上田清司、平山佐知子を加えた改憲勢力は95議席獲得となり、非改選と合わせて179議席、2/3の166議席を大きく上回りました。自民党は改憲の発議の手続きを進める模様です。
女性当選者は過去最多の35人､当選者の28％、非改選と合わせて25.8％、過去最高となりました。候補者男女均等法ができて、候補者の女性比率も過去最高でした。やはり候補者に女性が出ないことには女性議員を増やす事はできません。女性比率の低い自民、公明はもっと女性候補者擁立に努力してほしいです。
個人的には福島みずほさん、辻元清美さん、田村智子さんらベテランの頑張っている女性が再度国会で活躍してくれるのはうれしいです。一方で、森裕子さん、矢田わか子さんらが落ちたのは残念でした。
投票率は、選挙区全体で52.05％、過去4番目の低さ。東京都は56.55％、前回より4.78ポイント増で全国で第3位。三鷹市は60.51％、5.52ポイント増で都内第9位でした。約半数しか投票しないことの意味が重い。
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